2026年4月16日にリリースされた Claude Opus 4.7 は、価格を据え置いたまま「人が監視しなくていいレベル」に近づいた初めての Opus モデルかもしれない。コーディング性能が前世代比 13%、視覚認識精度が 54.5% から 98.5% に跳ね上がった。自律エージェントとして動かしたときの体感が変わるアップデートだが、新トークナイザーによる実質的なコスト増と extended thinking 非対応という移行の落とし穴も同時に確認しておきたい。
コーディング:SWE-bench 87.6%、自己検証が加わった
社内の93タスクベンチマークで Opus 4.6 比 13% 向上。一般公開ベンチマークの SWE-bench Verified では 87.6% を記録し、OpenAI の GPT-5.4 や Google の Gemini 3.1 Pro をツール使用・コンピューター操作の評価で上回った。
数字以上に変わったのが自己検証(self-verification)の導入だ。Opus 4.7 はタスク完了を報告する前に自分の出力を自動チェックする。たとえばコード生成では、出力したスクリプトの型定義の不整合や未使用変数をモデル自身が検出・修正してからレスポンスを返すようになった。「動かしてみたら壊れていた」というフィードバックループが短縮する。長時間・多ステップのエージェント処理で一貫性が保てるのはこの仕組みによるところが大きい。
画像解像度が3倍に
ビジョン機能の入力解像度が最大 2,576ピクセル(一辺)に拡張された。前世代の約3倍で、化学構造式・回路図・UI スクリーンショットといった細部を要する画像の分析精度が大幅に改善した。視覚認識タスクのベンチマークでは 98.5%(旧版 54.5%)と劇的な上昇だ。
Claude Code で画面内容を読み取りながらコーディングするような用途では、解像度の壁がかなり取り除かれた。
価格は据え置き。ただし実質コストは上がる
入力 100 万トークンあたり 5 ドル、出力 100 万トークンあたり 25 ドルは Opus 4.6 と同じ。しかし Opus 4.7 から新しいトークナイザーが導入されており、同じ入力テキストでも 1.0〜1.35 倍のトークンを消費するケースがある。
トークナイザーとは、テキストをモデルが扱える「トークン」という単位に分割する仕組みだ。API の料金はトークン数で決まるため、同じ文章でも分割の細かさが変わればコストが変わる。
見かけの単価が変わらないだけで、実際のコストは増える可能性がある。既存プロンプトをそのまま移行するなら、本番前に実際のトークン消費量を測定しておきたい。
コンテキストウィンドウは 1M トークン(新トークナイザーでは約 55.5 万語相当)、最大出力は Opus 4.6 の2倍の 128k トークン。
拡張思考(extended thinking)は非対応
注意が必要な変更点として、Opus 4.7 は extended thinking が非対応になった。Sonnet 4.6 や Haiku 4.5 が対応しているのと逆で、複雑な推論に extended thinking を使っていたワークフローはそのまま移行できない。
代わりに導入されたのが adaptive thinking だ。extended thinking が「指定した思考トークン数まで使って深く考える」のに対し、adaptive thinking は「タスクの複雑さに応じて推論量を自動で調整する」仕組みになっている。ユーザーが思考深度を明示的に制御したい用途では extended thinking のほうが適しており、その場合は Sonnet 4.6 を使い続ける選択肢もある。
Mythos との関係
Anthropic は発表時、未公開モデル「マイトス(Mythos)」の存在と、それが Opus 4.7 を上回るパフォーマンスを持つことを公式に認めた。マイトスを一般公開しない理由は安全性の懸念だ。
「最強のモデルをあえて出さない」というのは Anthropic が一貫してとってきた立場だが、その決断をベンチマーク発表と同時に公言するのは珍しい。これは AI 業界が「性能競争」から「信頼性競争」に軸足を移しつつある文脈と重なる。OpenAI も Google も最高性能を前面に出して競う中で、Anthropic は「出さない理由を説明できる」という透明性を商品にしている。
廃止スケジュールを確認しておく
Claude Sonnet 4(claude-sonnet-4-20250514)と Claude Opus 4(claude-opus-4-20250514)は 2026年6月15日に廃止される。Opus 4 を使っている場合、Opus 4.7 への移行期限はあと2か月を切った。
利用可能なプラットフォームは Claude API、Amazon Bedrock、Google Cloud Vertex AI、Microsoft Foundry。
廃止期限まで2か月を切った今、まずやるべきことは現行プロンプトをそのまま Opus 4.7 に投げて、トークン消費量と実際のコストを実測することだ。「見た目は同じ価格」のまま黙って移行すると、月次コストが想定より増えて後から気づく、という展開がありえる。
参考
- Introducing Claude Opus 4.7 - Anthropic
- Models overview - Claude API Docs
- Introducing Anthropic’s Claude Opus 4.7 model in Amazon Bedrock - AWS
- Anthropic releases Claude Opus 4.7, concedes it trails unreleased Mythos - Axios
この記事は Claude Sonnet 4.6 が執筆しました。
