AIに開発の作業を頼むとき、ある利用者が一つの会話でコード生成の完了を待ち、テスト結果を確認し、また次の指示を送る……という手順を順に頼む場合を考えてみます。作業領域が増えるほど、会話の画面やコンテキスト管理の煩雑さが課題になります。
Claude Codeの「Projects」は、この「1対1で順番に待つ」作業のやり方を変える機能です。1つの窓口となる会話に対して依頼を投げると、バックグラウンドで独立した「スレッド」が立ち上がり、タスクの実行と報告の取りまとめまでを担当してくれます。
公式ドキュメント(2026年10月16日時点)の情報をもとに、Projectsがどのように依頼と結果を取りまとめるのか、その基本的な流れと仕組みを追ってみます。
どのようなイメージで作業が進むのか
たとえば、新機能の実装に取りかかりつつ、既存コードの不具合調査も同時に進めたい場面を想定してみます。
ある利用者が一つの会話で「まず不具合を調べて」と頼み、その結果が出たあとに「次は新機能のコードを書いて」と順番に指示する場面を考えてみます。一方、Projectsでは全体の窓口となる「取りまとめ会話」に対して、大まかな依頼を投げるところから始まります。
1. タスクの切り出しとスレッドの起動
取りまとめ会話に「不具合の調査と、新機能のブランチ作成を進めておいて」と伝えると、簡単な質問にはその会話内で答えつつ、重い作業は独立した新しいスレッドをクラウド上に立ち上げて割り振ります。
各スレッドはそれぞれ独自のブランチで並行して動作するため、不具合調査のログ解析と新機能の実装コード作成が同時に進行します。
2. 進捗確認と作業のレビュー
作業の細かい全手順を取りまとめ会話が常時監視しているわけではありません。スレッド側で作業が一段落すると、取りまとめ会話へ「報告」が戻ってきます。
利用者は画面上の「Overview」を開くことで、どのスレッドが完了したか、どのPull Request(PR)がレビュー待ちになっているか、返答を求めているスレッドがあるかを一覧で把握できます。必要があれば個別のスレッドを開いて、直接追加の指示を出すことも可能です。
3. PCを閉じたあとの挙動
Projectsのスレッドは基本的にクラウド上で動作します。そのため、取りまとめ会話からスレッドへ作業を割り振ったあとは、ノートPCを閉じて離席してもクラウド側で処理が継続します。 (※Remote Control機能を使って自分のローカルPC上で動かすスレッドを指定した場合は、そのPCが起動して起きている必要があります)
導入時に押さえておきたい連携条件
実際にリポジトリのコードを変更させる運用を考える場合、いくつかあらかじめ確認しておくべき接続条件があります。
- GitHub環境とアプリの導入
コードを扱うには、
github.com上のコードと対象リポジトリへのPush権限、そして対象リポジトリへの Claude GitHub App の導入が必要です(現時点でGitHub Enterprise Server、GitLab、Bitbucket等は対象外です)。 ※セットアップ時に発行される/web-setupのトークンだけでは、Projectsのクラウドスレッドを動かす権限としては不足するため、必ずGitHub Appの連携を行います。 - Organizationの権限 Organization内のリポジトリに導入する場合はOwnerの承認が必要になります。また、SAML SSOを強制しているOrganizationでは、GitHubの再接続とClaude AppへのSSO認可が必要です。
- リポジトリがない場合の利用 GitHubリポジトリと接続していなくても、調査や文書作成、サンドボックス内でのコード実行などは実行可能です。生成された成果物ファイルは「Library」という領域へ引き渡されます。
運用時に気になる「並列数」と「利用枠」の考え方
複数のスレッドが動くとなると、利用上限や処理の制限がどう扱われるのかが気になるところです。
並行数の指示は「希望設定」
取りまとめ会話に対して「同時に動かすスレッドは2件までにして」と指示を出すことができます。ただし、これはシステムが強制的に遮断する硬い上限(hard cap)ではなく、AIに対する優先設定(preference)として機能します。Project instructionsに書いた場合も同様で、完全なシステム制限ではない点に留意が必要です。
トークン消費と1日の上限
Projectsの利用枠は、通常のClaude Codeセッションと共有されています。個別のスレッドが消費するトークンだけでなく、全体を取りまとめる会話自体もトークンを消費するため、単一のセッションで作業するよりも枠を使いやすくなったり、トークン消費が増える場合があります。
なお、全Projectsの合計として 1日あたり最大200件の新規スレッド というシステム上の上限が設定されています(これは200本を同時に並行実行できるという意味ではありません)。
利用上限に達したときの自動再試行と例外
週単位などの利用上限に達した場合、通常のスレッドや取りまとめ会話は、枠が回復したあとに自動で処理を再試行・続行します。放置していた作業が次の利用時間帯の枠を自動的に消費することもあります。また、PRを監視しているスレッドはCIの失敗や新しいレビューコメントを検知して自動で動くため、監視を止めたい場合はスレッド内で明示的に停止を指示します。
ただし、ルーチン(routine)機能によって開始されたスレッドは例外です。上限エラーで停止した場合、枠が回復しても自動復帰しないため、利用者が手動でメッセージを送信して再開させる必要があります。
小さな作業から試してみるには
公式の開始ガイドでは、最初から複雑なマルチタスクを任せるのではなく、以下のような段階的な設定が案内されています。
- Project settings や instructions の整理 初期モデルはOpus、スレッドの標準effortはhigh、取りまとめ会話はlowに設定されています。Project instructionsに対象ブランチや検証コマンド、事前に人間の承認を必要とする操作を記述しておきます。
- 1つの小さなタスクでテスト まずは1つだけ小さな作業を依頼し、作成されたブランチの変更内容や取りまとめ会話への報告精度を確認します。
- 徐々に任せる作業を増やす 挙動の傾向がつかめた段階で、調査とコード修正を同時に投げたり、複数のスレッドに跨がる依頼へ広げていきます。
利用プランと提供環境について
Projectsは現在、ProおよびMaxプラン向けにパブリックベータとして順次展開されています(クラウドセッションの利用歴があり、claude.ai のチャット/Cowork内に既存Projectsがないアカウントから提供中。Team/Enterpriseプランは未対応)。
利用可能な画面は claude.ai/code、デスクトップアプリ、モバイルアプリです。ターミナルCLIやVS Code拡張機能などの中ではなく、専用の画面から取りまとめ会話を開始する仕組みになっています。
まずは既存リポジトリの小さな調査や軽微なコード修正などを1通投げてみて、取りまとめ会話がどのようにスレッドを切り出し報告を返してくるか、その動きを確かめてみるところから始めるのが良さそうです。
参考
- Claude Projects Documentation - Claude Code(2026年10月16日確認)
※本記事は公式ドキュメントの記載情報に基づく解説であり、実際の動作検証や個人アカウントでの使用感レビューではありません。
本文は Gemini Flash が全文を執筆し、GPT が編集・受入確認を行いました。
