Anthropicは2026年9月28日、新モデル「Claude Sonnet 5.5」を発表しました。9月22日に登場したOpus 5.5に続く、Claude 5.5ファミリーの2番目のモデルです。
同日、AnthropicのAddy Osmani氏による開発者向け解説「Building with Claude Sonnet 5.5」も公開されました。本記事では、公式発表および開発者ドキュメントに基づき、Sonnet 5.5とOpus 5.5の使い分け、Sonnet 5からのAPI移行時の変更点、そしてClaude Codeでの運用ポイントを整理します。
どちらを選ぶか:Sonnet 5.5 vs Opus 5.5
Sonnet 5.5はSonnet 5と比較して出力速度が30%以上高速化しており、1タスクあたりの処理効率向上によって実質コストが最大30%削減されます。高速・低価格なSonnet 5.5に対し、Opus 5.5は「高度で慎重な判断を要する複雑な仕事」向けとして位置づけられています。
| 作業の種類 | 推奨モデル |
|---|---|
| 範囲が明確な日常のコーディング(バグ修正、機能の修正、仕様適合の確認) | Sonnet 5.5 |
| 大量の日常的開発タスク | Sonnet 5.5 |
| 見た目重視の資料作成(1枚資料、図、要約スライド、文書編集、表整理) | Sonnet 5.5 |
| 定型的なエージェント作業(調査、レビュー、下書きの繰り返し) | Sonnet 5.5 |
| 慎重な判断が必要な複雑な作業(長期のエージェント型コーディング・知的作業) | Opus 5.5 |
| 最難関の課題・自由度の高い設計 | Opus 5.5 |
選択の判断基準
- Sonnet 5.5が向くケース: 仕様が明確で、結果を機械的・明確に検証できるタスク。
- Opus 5.5が向くケース: 判断を持続させる必要があり、自由度が高く長期に渡る複雑なタスク。
ベンチマーク上、Max effortに設定したSonnet 5.5はOpus 5.5に匹敵するスコアを示しますが、長期的な判断力や高度な思考の維持においてはOpus 5.5に明確な優位性があります。
価格とベンチマーク
API料金(100万トークンあたり)
トークン単価はSonnet 5から据え置かれています。同じ処理に必要なトークン数が減少したため、タスクあたりの実質コストが低下しています。
| 項目 | Sonnet 5.5 | Opus 5.5 |
|---|---|---|
| 入力 | $2.00 | $4.00 |
| 出力 | $10.00 | $20.00 |
| キャッシュ書き込み(5分) | $2.50 | $5.00 |
| キャッシュ書き込み(1時間) | $4.00 | $8.00 |
| キャッシュ読み込み | $0.20 | $0.20 |
※ 米国内限定推論(inference_geo: "us")を利用する場合は通常価格の1.1倍となります。
※ 画像処理は高解像度化(長辺2576pxまで対応)に伴い、2000×1500pxの画像でSonnet 4.6/Sonnet 4.5/Haiku 4.5の約2.5倍のトークンを消費します。細部が不要な画像は送信前の縮小が推奨されます。
主要ベンチマーク比較(抜粋)
| ベンチマーク | Sonnet 5.5 | Sonnet 5 | Opus 5.5 |
|---|---|---|---|
| Terminal-Bench 4.0 (エージェントコーディング) | 70.6% | 10.3% | 66.4%(※Xhigh effort) |
| FrontierCode 1.1 | 46.2% | 42.4% | 54.4% |
| GDPval-AA v2.1 (実務横断) | 1844 | 1449 | 1846 |
| OSWorld 2.1 (PC操作) | 80.1% | 57.0% | 81.8% |
モデルの基本仕様
- モデルID:
claude-sonnet-5-5(Bedrockはanthropic.claude-sonnet-5-5) - コンテキストウィンドウ: 100万トークン(betaヘッダー不要)
- 最大出力トークン: 128,000トークン(Message Batches APIで
output-300k-2026-03-24を指定した場合は最大300,000トークン) - 知識カットオフ: 2026年6月
- 思考機能: 既定でオン(adaptive thinking)。
between_tools設定により事前の思考をオフにし、ツール呼び出しの合間だけ思考させることが可能 - effortパラメータ:
low/medium/high/xhigh/max(既定値:APIはhigh、Claude Codeはmedium) - プロンプトキャッシュ最小長: 512トークン(Sonnet 5の1024トークンから緩和)
Sonnet 5からの移行における6つの変更点
モデルIDを claude-sonnet-5-5 に変更する際、既存実装に対して以下の破壊的変更および動作変更への対応が必要です。
なお、Claude Code上で以下のコマンドを実行すると、同梱されているClaude APIスキルがモデルIDの置換および非互換パラメータの修正を自動で行います。
| |
1. 思考オフ指定を between_tools に変更
thinking: {"type": "disabled"}を送信すると 400エラー になります。- 思考を抑制したい場合は
between_toolsを指定します。ただし、between_toolsはlow/medium/highでのみ利用可能で、xhigh/maxと組み合わせると400エラーになります。 display/budget_tokens/block_bindingを同時に送信するとエラーになります。
2. 強制 tool_choice を auto + Strictツールに置換
tool_choiceにanyまたはtoolを指定すると 400エラー になります。- 代わりに
tool_choice: {"type": "auto"}を指定し、ツール側にstrict: true(全オブジェクトにadditionalProperties: falseが必須)を設定してください。
3. 会話履歴の追記制約
- Sonnet 5.5の思考ブロックはモデルと強力に結びついています。Sonnet 5.5はSonnet 5の思考ブロックを解釈できますが、Sonnet 5.5の思考ブロックを他のモデルで読み込むことはできません。
4. コンピューター操作ツールのバージョン更新
- Sonnet 5.5では
computer_20251124を指定すると400エラーになり、{"type": "computer_toolset_20260801"}への移行が必要です(Bedrockを除く)。 anthropic-beta: computer-use-2025-11-24ヘッダーおよびfine-grained-tool-streaming-2025-05-14は削除し、ツールごとにeager_input_streaming: trueを設定します。
5. アドバイザーモデルの組み合わせ制限
- Sonnet 5.5を実行役にする場合、アドバイザーとして Opus 4.8 / Opus 4.7 / Sonnet 5 を指定することはできません(Opus 5.5 / Opus 5 / Sonnet 5.5 自身が指定可能)。
6. ツール間のテキスト応答の扱い(表示上の変更)
- ツール呼び出しの間に生成されるテキスト(進行メモ等)が長くなると、思考ブロックとして扱われるようになります。従来のUI実装によっては表示されなくなる場合があるため、
thinking.displayを"updates"(beta)または"summarized"に設定して調整します。
移行後のパラメータ調整・最適化ノウハウ
- effortの再調整
Sonnet 5から思考量の制御ロジックが変わっているため、
highを基本として再測定します。遅延を優先するチャット用途ではmediumやlowを検討してください。 max_tokensの確保 思考トークンもmax_tokensにカウントされます。エージェント用途ではmax_tokensを上限の128000に設定し、ストリーミング受取を行うのが安全です。- Sonnet 5向けのハック・プロンプトの削除 拒否回避のための誘導プロンプトや「手を抜かないで」といった指示フレーズ、再試行ロジックなどの旧モデル用回避策は取り除いて評価し直すことが推奨されます。
- low effort時の検証命令
effort: lowではテストやビルドの実行を省略する傾向があります。必要に応じて「コード変更後は必ずビルドとテストを実行して確認すること」をシステムプロンプトで明記します。 - キャッシュ対象の拡大 キャッシュ最小トークン数が512に下がったため、短めのシステムプロンプトやツール定義もキャッシュの対象となります。なお、リクエスト間でトップレベルのeffortを変更するとキャッシュが無効化されるため注意してください。
拒否(Refusal)構造とフォールバック
Sonnet 5.5には、最上位モデルと同等のサイバーセキュリティ保護機能および思考抽出防止(reasoning_extraction)の分類器が搭載されています。
- 拒否時の挙動: HTTP 200で
stop_reason: "refusal"が返され、stop_details内に5つのカテゴリ(cyber/bio/frontier_llm/reasoning_extraction/general_harms)のいずれかが記録されます。 - 自動フォールバック: サーバー側フォールバック(
fallbacks: "default")を有効にしている場合、cyberおよびfrontier_llm起因の拒否のみ、自動的にSonnet 5での再試行が行われます。
Claude Codeでの利用
Claude Code v2.1.284 以降(TypeScript版 Agent SDK v0.3.284以降)において、sonnet エイリアスは自動的に Sonnet 5.5 を指すようになっています。
- 切り替え方法: デフォルトモデルは Opus 5.5 のまま維持されているため、明示的に切り替える場合は
/model sonnetを実行します。 - 動作仕様: Claude Code上での既定effortは
mediumです。Sonnet 5.5の思考機能を完全にオフにすることはできません(effort調整で制御)。また、Sonnet 5.5には fast mode は用意されていません。
日常の広範なコーディングや明確なリファクタリング作業には /model sonnet を活用し、設計や長期に及ぶ複雑な問題解決にはデフォルトの Opus 5.5 を充てる使い分けが最も効率的です。
参考
この記事は Gemini の原稿をもとに Claude Opus 5.5 が編集しました。
