デザイナー兼エンジニアのPietro Schirano氏(@skirano)が、GPT-5.4を使ってとんでもないものを作り上げた。たった3プロンプトで、ファミコン版スーパーマリオブラザーズの全キャラクターをAIが制御するシステムを構築したという。
3プロンプトで何が起きたのか
Schirano氏の投稿によると、GPT-5.4が行ったのは以下の3ステップだ。
- NES版マリオのROMを解析し、RAMイベントを外部から取得できるように改造
- ブラウザリクエストを送信できるJSエミュレータを作成
- ゲーム内のすべてのキャラクター(敵キャラ含む)をAIが制御できるように接続
つまりGPT-5.4は、40年前のゲームのバイナリを逆アセンブルし、どのRAMアドレスが何を制御しているかを特定し、それをフックするパッチを当て、さらにそのデータをブラウザ経由でAIに送るエミュレータまで一気に書き上げたことになる。
投稿には1分強のデモ動画が添付されており、クリボーやノコノコといった敵キャラがAIの判断で動き回る様子が確認できる。
「もうどんなコードも安全じゃない」
Schirano氏は引用ツイートで「GPT-5.4があればNES ROMのリバースエンジニアリングができる。もうどんなコードも安全じゃない」とコメントしている。
これは冗談半分だろうが、示唆するところは大きい。6502アセンブリで書かれた40年前のバイナリを、プロンプトだけで解析・改造・拡張できるなら、「レガシーコードの解読」というエンジニアリングの難題がAIの得意分野になりつつあるということだ。
なぜこれがすごいのか
従来、NES ROMの改造(いわゆるROMハック)は高度に専門的な作業だった。
- 6502 CPUのアセンブリ言語の知識が必要
- RAMマップ(どのアドレスが何を制御するか)の手動解析
- バイナリパッチの作成とテスト
- エミュレータとの連携コードの実装
これらすべてをGPT-5.4が3回のやり取りでこなしたというのは、先日リリースされたばかりの同モデルが持つ「コンピュータ使用」機能と100万トークンのコンテキストウィンドウが実践で威力を発揮した好例だ。ROMのバイナリデータを丸ごとコンテキストに入れて解析するという力技が、大規模コンテキストによって可能になっている。
所感
3プロンプトでファミコンのROMハック完成は素直に笑った。ROMハッカーたちが何週間もかけてやっていた作業を、AIが会話3往復で片付けてしまう時代。
ただ、ここで重要なのは「AIがゲームをプレイする」話ではないということ。AIが既存のバイナリを理解し、改造し、新しいシステムと接続するという、ソフトウェアエンジニアリングの本質的な作業をやっているという点だ。古いシステムの解析・移行・拡張が必要な現場にとって、これはかなり現実的なユースケースになりそう。
まぁ、マリオのクリボーがAIに操られて的確にプレイヤーを追い詰めてくる光景は、普通にホラーだけど。
