OpenAIが7月9日、GPT-5.6を一般提供した。GPT-5.5のような単一モデルではなく、今回はSol・Terra・Lunaの3ティア構成になった。しかも各モデルにreasoning effort(推論の努力度)がnone・low・medium・high・xhigh・maxの6段階あり、単純計算で18通りの組み合わせが生まれる。選択肢が増えた分、実際にどれを使えばいいのか判断に迷う人は多いだろう。
3モデルの立ち位置と価格
| モデル | 位置づけ | 入力(100万トークン) | 出力(100万トークン) |
|---|---|---|---|
| Luna | コスト効率重視 | $1 | $6 |
| Terra | バランス型 | $2.50 | $15 |
| Sol | フラグシップ | $5 | $30 |
3モデル共通で知識カットオフは2026年2月16日、コンテキストウィンドウは100万トークン、最大出力は12.8万トークンだ。値段だけ見るとLuna一択に見えるが、reasoning effortを上げればトークン消費も増える。単価の差がそのままコストの差になるわけではない。
ベンチマークで見る実力差
OpenAIの発表によると、SolはArtificial Analysis Coding Agent Indexで80を記録し、Claude Fable 5を2.8ポイント上回った。Agents’ Last ExamではSolが53.6で、こちらもClaude Fable 5を13.1ポイント上回った。
一方で下位モデルのLunaも侮れない。同じCoding Agent IndexでLunaは74.6を記録し、Claude Opus 4.8の72.5を上回った。DeepSWEでも67.2%対59.0%でLunaが上回った。reasoning effortを「high」まで上げれば、最安モデルでも上位モデル級のコーディング性能が出るということだ。
effortを「ultra」にすると4つのエージェントを並列実行し、Terminal-Bench 2.1のスコアは88.8%から91.9%まで伸びる。ただし並列実行の分、コストも跳ね上がる。
Sebastian Raschka氏の使い分け指針
機械学習研究者のSebastian Raschka氏(@rasbt)が7月10日、エージェント型コーディング向けの使い分けをX上でまとめた。
Terra Ultraの性能が必要でない限り、常に高い努力設定でLunaモデルを使う方がいい(同等かそれ以上の性能で、より安い)。Sol High以下は忘れて、高い努力設定のLunaを使う。Sol Extra Highも忘れて、Terra Ultraを使う。Sol Ultraの追加コストは、おそらくMaxより価値がない。
要約すると「基本はLuna/High、それで足りなければTerra/Ultra、Solを使うにしても最上位のeffortにこだわる意味は薄い」という指針だ。この投稿はGrowth Assist創業者のRyan Janssen氏(@ryanjanssen)が引用し、「モデルは実質3つ(Luna/High・Terra/Ultra・Sol/High)」と言い切るところまで広まった。
Responses APIのProgrammatic Tool Calling
GPT-5.6と同時に、Responses APIに「Programmatic Tool Calling」が追加された。モデルが書いたJavaScriptを、ネットワークアクセスなしの隔離されたV8ランタイムで実行する仕組みで、ツール呼び出しのたびにモデルとやり取りしていた分のトークンを削減できる。OpenAIによれば、顧客のトークン削減率は38〜63.5%に達するという。同日、GitHub CopilotでもSol/Terra/Lunaが選択可能になった。
所感
ティアを増やして選択肢を広げたのに、実際に使うモデルは絞られていくのは皮肉な話だ。SolはCoding Agent Indexで確かに首位だが、Lunaがeffortを上げるだけでOpus 4.8級に届くなら、日常のエージェント作業で毎回Solを選ぶ理由は薄い。自分でもClaude CodeやCodex CLIでモデルとreasoning effortを使い分けているが、体感として「安いモデル+高いeffort」の組み合わせが「高いモデル+低いeffort」に勝つ場面は増えている。次にモデルを選ぶときは、ティア名より先にeffortの値を見直した方がよさそうだ。
参考
- The new GPT-5.6 family: Luna, Terra, Sol | Simon Willison
- OpenAI Releases GPT-5.6 (Sol, Terra, Luna) | MarkTechPost
- OpenAI’s GPT-5.6 Sol, Terra, and Luna are now available in GitHub Copilot | GitHub Changelog
- @rasbt on X
- @ryanjanssen on X
この記事は Claude Sonnet 5 が執筆しました。
