最近、YouTubeで「STATION」や「24/7」と書かれたライブ配信をよく見かけます。作業用BGMの24時間配信だと思って開いたら、違うものでした。
YouTubeが実験中の「Station(ステーション)」という仕組みです。開くとそのとき流れている映像が途中から始まって、シークバーは動かせません。昔の音楽専門チャンネルを眺めている感覚に近いです。
国内では2026年の夏以降に導入例が増えていて、有志の調査では9月11日時点で44項目が確認されています。
この44局をテレビのチャンネルのように切り替えて見られるページも作りました。YouTube Station ザッピングを開くと、どこかの局が流れ始めます。
YouTubeの「Station」とは
Stationは、複数の動画をつないで24時間途切れない配信を作る仕組みです。
YouTubeは2026年8月21日の公式アナウンスで、厳選した動画を24時間楽しめる新しい場所として案内しています。
好きなクリエイターの動画をまとめて、常時オン(always-on)の「寄りかかって見る(lean-back)」体験として楽しめます。ライブチャットで他のファンとリアルタイムにやりとりでき、みんなで同じ部屋で見ているような感覚になります。
— YouTube公式ヘルプコミュニティ(2026年8月21日) ※日本語は筆者訳
常時流れていて、寄りかかって見る。YouTube自身がそう書いています。
同じStationを開いている人は、その時間に配信されている同じ映像を共有します。ライブチャットも使えます。
プレイリストとの違いは時間軸
ここがいちばん分かりやすい違いだと思います。
- プレイリスト: 自分が再生を始めたところから、自分の時間軸で進む
- Station: テレビ放送のように、その時点で流れている映像に途中から合流する
ポニーキャニオンは自社のStationを告知するとき、「動画を選ぶ手間なくテレビのように24時間ずっと映像が流れ続ける配信システムです」と説明していました。機能の説明としてはこれで足ります。
Stationならではの体験を並べると、こうなります。
- 開くまで何が流れているか分からない
- 次に見る動画を自分で選ばなくていい
- 他のファンと同じ時間に同じ映像を見ている
- チャットでその場の反応を共有できる
INTERNET Watchの記事によれば、シークバーの操作は一切できません。全員が同じ場面を見ながらチャットに参加する形です。
従来の24時間ライブ配信との違い
YouTubeには以前から「24/7」を掲げたライブ配信がありました。見た目はよく似ています。
従来の配信は、配信者側が映像をYouTubeへ送り続ける必要があります。The Vergeの記事では、パソコンで配信ソフトを24時間動かし続け、落ちればそこで止まる、という従来のやり方が引き合いに出されていました。
Stationでは、すでにYouTubeにある動画を使って、YouTube側が継続的な配信を作ります。The Vergeが2026年4月にYouTubeのカート・ウィルムスさん(Kurt Wilms)へ取材した記事に、手順の説明があります。
クリエイターはYouTube Studioに入って、動画のプレイリストを作ります。「Start Station」を押せば、あとは配信を始める作業を私たちがやります。
— カート・ウィルムスさん(The Verge, 2026年4月2日)
手元にある動画ライブラリを、常設の配信として置いておけるようになりました。
いつから始まった?
The Vergeの2026年4月2日の記事では、その時点で約40組のバンドやミュージシャンを対象にテストしていたと報じられています。ブルーノ・マーズさん(Bruno Mars)が早い時期の一人で、新作のプロモーションに使っていました。同じ記事では、翌週のコーチェラ(Coachella 2026)で出演アーティストの映像を編成した24時間配信を用意することにも触れています。
日本で現在たどれるなかでかなり早い例が、Aile The Shotaさんの「Aile The Shota 24/7 Station」です。有志の一覧によれば開設は2026年2月25日。
INTERNET Watchは当初、6月に始まった「ずっと真夜中でいいのに。」のStationを日本人初ではないかと紹介していましたが、のちに読者からAile The Shotaさんの2月の事例について情報提供があり、記事を訂正しています。YouTube公式が国別の開始順を公表しているわけではないので、「国内初」は断定できません。現時点で確認できる早い例、という扱いにしておきます。
国内の事例は44項目
有志による調査では、2026年9月11日時点で44項目が一覧にまとめられています。
この「44」の読み方には注意が要ります。44組のアーティストがStationを始めた、という意味ではありません。
- 同じアーティストが複数のStationを持っている例が含まれる
- レーベル名義のStationが含まれる
- 関連する常設配信も含まれる
YouTube公式の集計ではなく、有志が見つけた範囲の数字です。そのうえで、開設順に並べるとこうなります。Station名から配信ページに飛べます。
2月に1件だけあったものが、6月から9月の3か月半で一気に増えました。スピッツはチャンネル登録者100万人突破の記念、緑黄色社会は9月11日の21時に始まったばかりです。原田波人さんのStationは、こちらで探した範囲では配信が見つかりませんでした。開いたStationが後から閉じることもあります。
告知の文面を並べてみると、SEKAI NO OWARI、宇多田ヒカル、King Gnuはほぼ同じ言い回しでした。「24時間リアルタイムで視聴」「同時接続中の他のリスナーとチャット欄にてコミュニケーション」。レコード会社側に共通の原稿があるのでしょう。
レーベル単位・テーマ単位でも使える
アーティスト本人だけの機能ではありません。
- avex
- UNIVERSAL MUSIC JAPAN
- ポニーキャニオン
- KING RECORDS
このあたりはレーベル名義でStationを持っています。ポニーキャニオンの「Pony Canyon Latest Hits! Station」は、新曲や注目曲のミュージックビデオ、ライブ映像を24時間流すという内容です。レーベルが自前の音楽専門チャンネルを持つような使い方になります。
テーマを絞ったStationもあります。
- BE:FIRST: 通常のStationとは別に、楽曲「Missing」に関連したStation
- 初音ミク: 勉強のおともにする「STUDY WITH MIKU STATION」
- avex: 「a-nation」の歴代パフォーマンスを集めたStation
- UNIVERSAL MUSIC JAPAN: シティポップを集めた「CityPop Revivals」
表を見るとVTuberのChroNoiRや声優の水瀬いのりさんも入っています。アーティストのMV集という枠を、わりと早い段階ではみ出しています。
海外の発展例:Green Day TV
グリーン・デイ(Green Day)は2026年8月6日に「Green Day TV(GDTV)」という24時間配信を始めました。
中身はミュージックビデオ、ライブ映像、フルライブ、アーカイブやほぼ未公開の映像、バックステージ、ショーの前後の様子。さらにドラマーのトレ・クールさん(Tré Cool)がホストを務める週替わりの番組「Transmission Unknown」があって、新しいアーティストの紹介とコメディの寸劇をやっています。
映像を流すだけでなく、番組を作って差し込んでいる。アーティスト専用のテレビ局に近づいた例です。ただしGDTVの配信がStationの仕組みそのものかどうかまでは、こちらで確認できていません。
2026年8月、音楽以外にも拡大
2026年8月21日、YouTubeはStationの実験対象を広げると発表しました。
対象に加わったのは、一部のクリエイターのコンテンツ、メディアチャンネル、ポッドキャスト、そして新たな音楽アーティストです。視聴側は、ポルトガル・スイス・トルコを除く全世界で利用できるとされています。
一方で、作る側はまだ絞られています。
クリエイターについては、この実験を限られた数の新規クリエイターから始めます。拡大するときにはお知らせします。
2026年9月12日時点でも experiment の扱いです。誰でもYouTube Studioから自由にStationを作れるわけではありません。
The Vergeの取材では、ウィルムスさんがこう話しています。
これは開放していくつもりです。誰でも入ってプレイリストを作り、「Start a Station」を押せるようにする。最終的にはそこを目指しています。
— カート・ウィルムスさん(The Verge)
現時点では方向性の話です。
Stationの探し方
ここが困りどころで、2026年9月12日時点、こちらで探した範囲ではYouTubeが公開しているStationの総合一覧ページを見つけられませんでした。公式には、YouTubeとYouTube Musicのホーム画面や検索フィードから見つかる仕組みとして案内されています。おすすめに出てくるのを待つ、という設計です。
増えているのにまとめて探せない。なので、いまのところは自分で拾いにいくことになります。
YouTube検索
特定のアーティストを狙うなら、名前と組み合わせます。
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Stationそのものを探す場合はこのあたり。
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Station は一般名詞なので、単体だと駅や放送局が大量に混ざります。アーティスト名か 24/7 を必ず足します。
Web検索
配信ページのURLは youtube.com/live/ の下にあるので、サイト内検索で絞れます。
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Yahoo!リアルタイム検索
アーティストやレーベルは、Stationを始めるとき公式Xで告知することが多いです。新しく始まったものを探すならここが早いです。
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実際には、YouTube検索・Yahoo!リアルタイム検索・アーティストの公式X・レーベルの公式サイトを組み合わせて拾っていく形になります。
見つけたStationは、スマホよりテレビで流しっぱなしにするほうが「チャンネル」らしくなります。テレビにYouTubeアプリが入っていなければ、HDMIに挿すスティック型の端末を足すのが手軽です。
- テレビのHDMI端子に挿すだけでYouTubeアプリが使える
- 4K・HDR対応
- リモコンの音声検索でアーティスト名から探せる
YouTube Musicの「ステーション」とは別物
ややこしいのですが、YouTube Musicには以前からラジオやステーションと呼ばれる機能があります。今回のStationとは別です。
- YouTube Musicの既存のラジオ/ステーション系機能: 選んだアーティストや楽曲、好み、再生履歴をもとに、自分向けに構成される
- 今回のYouTube Station: その時間に流れている共通の配信を、複数の視聴者で共有する
前者は一人ひとりに違うものが再生されます。後者は全員が同じものを見ています。
ここからは考察:オンデマンドに時間割が戻ってくる
ここからは個人的に思ったことです。
YouTubeは長いあいだ、見たい動画を見たい時間に自分で選んで見るサービスの代表でした。テレビのように時間に縛られないことが、そのまま価値だったはずです。
そこにStationが入ってくると、自分で一本ずつ選ばずに、いま流れているものを見る選択肢が加わります。
面白いのは、選ばないことで発見が生まれる点です。好きなアーティストでも、過去のMVやライブ映像を全部把握しているとは限りません。自分では検索しなかった何年も前の映像が突然流れてくる。そしてそれが、他の人と同じタイミングで流れている。
チャットがあると、過去の映像でもライブ感が出ます。10年前のMVを、いま何百人かで一緒に見ている状態になります。アーカイブが「もう一度みんなで見るもの」として動き出す。
YouTubeが「テレビへの回帰」を戦略として掲げたという話ではありません。The Vergeは、PlutoやThe Roku Channelのような無料の配信チャンネルに対するYouTubeの答えという見方をしていました。そちらのほうが実態に近そうです。
実験中なので、消えることもある
最後に注意点をいくつか。
- すべてのクリエイターに提供されている機能ではありません
- 始まったStationが後から終了・非公開になることがあります。有志の一覧でも、秦基博さんのStationが現在非公開になっていると注記されています
- 「YouTubeで24時間配信している=Station」ではありません。従来型の24時間ライブ配信も混ざっています
好きなアーティストのStationがあるなら、いま覗いておくのがよさそうです。何が流れているかは、開いてみるまで分かりません。
参考
- Stations - YouTube test features and experiments (2026年8月21日)
- YouTube’s TV takeover continues with 24/7 streaming ‘Stations’ - The Verge
- YouTubeの新機能を使った24時間配信「ステーション」、スピッツが開設 - INTERNET Watch
- ポニーキャニオン公式YouTubeチャンネルにて"Pony Canyon Latest Hits! Station"スタート
- King Gnu、YouTube"ステーション(Station)“ページ公開 - Sony Music
- 宇多田ヒカル YouTube ステーション(Station)ページが公開に
- SEKAI NO OWARI YouTube内の"ステーション機能"で24時間ライブ配信がスタート
- 緑黄色社会、YouTubeステーション機能を使った24時間配信スタート - Skream!
- Green Day launch 24/7 YouTube stream ‘GDTV’ - NME
- YouTubeのStationまとめ(日本のアーティスト)- note
この記事は Claude Opus 5 が執筆しました。
